親が亡くなった後、実家の片付けは何から始める?|遺品整理・相続・売却の完全ガイド
最初から全部片付けようとすると、重要書類や思い出の品まで処分してしまうことがあります。まずは家を守ること、書類を探すこと、家族で方針を決めることを分けて進めます。
親が亡くなった直後は、誰しも頭が真っ白になります。「何から手をつければいいのか」と途方に暮れたまま、勢いで片付けを始めてしまうと、本当に必要な書類や貴重品まで処分してしまったり、相続放棄ができなくなったり、相場の2倍の費用を払ってしまったりする事態が起こります。この記事では、親が亡くなった日から相続手続きが落ち着くまでの数か月間に、実家の片付けで失敗しないための順序を、公的情報と実務の両面から解説します。
この記事の要点(先に結論)
- 葬儀直後に「全部捨てる」モードで動くのが最大の失敗。「捨てる」より「探す」が先
- 死亡届は7日以内、相続放棄は3か月以内、相続登記は3年以内。期限を逆算して動く
- 相続放棄の可能性がある間は、家財を勝手に処分しない(単純承認とみなされる恐れ)
- 遺品整理業者は「一般廃棄物収集運搬業の許可または提携」「古物商許可」「相見積もり」の3点で選ぶ
- 遠方・荷物が多い・解体予定がある場合は、片付け前に不動産査定を並行させると手戻りが減る
なぜ「いきなり片付ける」と失敗するのか
葬儀が終わると、多くの方が「早く片付けないと」という焦りに襲われます。とくに実家が遠方にある、賃貸物件で次の入居者が控えている、空き家になると近隣への迷惑が気になる、といった事情があると、その焦りはさらに強くなります。
しかし、親が亡くなった直後の実家は、「家の中にあるすべての物が、まだ何かの手続きに使うかもしれない物」として扱う必要があります。具体的には次のような失敗が頻発します。
- 古い封筒に入っていた生命保険の証券を、紙くずと一緒に捨ててしまった
- タンスの裏に貼ってあった土地の権利証(登記識別情報通知)を処分してしまった
- 仏壇の引き出しにあった通帳を、仏壇ごと処分業者に出してしまった
- 形見分けの相談前に、兄弟の一人が独断で家財を業者に出し、後でトラブルになった
- 借金がありそうだったのに家具を処分してしまい、相続放棄が認められなくなった
これらは特殊なケースではなく、遺品整理の現場では日常的に起きていることです。だからこそ最初の数週間は、「捨てる作業」ではなく「探す・確認する作業」に時間を使うのが正解です。
最初の1日〜7日でやること(死亡届・ライフライン・施錠)
親が亡くなってから1週間は、片付けではなく「家を守る」「期限のある届出を出す」ことが最優先です。
1. 死亡届は7日以内に提出
戸籍法第86条により、死亡届は死亡の事実を知った日から7日以内に提出する義務があります(国外死亡の場合は3か月以内)。提出先は、死亡者の本籍地、届出人の所在地、死亡地のいずれかの市区町村役場です。期限を過ぎると、戸籍法第137条により5万円以下の過料が科される可能性があります。実務的には、葬儀社が役所への提出を代行してくれる場合がほとんどですが、依頼前にコピーを手元に残しておくことが重要です(生命保険の請求や年金停止手続きで何度も必要になります)。
2. 14日以内に出すべき各種届出
死亡届のほかにも、14日以内が期限の手続きが集中します。世帯主変更届(14日以内)、国民健康保険・後期高齢者医療の資格喪失届(14日以内)、介護保険の資格喪失届(14日以内)、年金受給停止(厚生年金10日以内・国民年金14日以内)などです。これらを放置すると、未納分の請求や年金の不正受給扱いといったトラブルにつながります。
3. 実家のライフラインと施錠
遠方の実家であれば、最低限以下を確認しておきます。
- 玄関、勝手口、窓、雨戸の施錠
- 郵便物の確認(督促状・税金通知・銀行からの郵便物は捨てない)
- 冷蔵庫の中身(腐敗しやすいものを処分)
- ガスの元栓、水道の元栓、電気のブレーカー(外出が長期化するなら止めるか維持か判断)
- 水回りの漏水・雨漏り痕
- 近隣への挨拶(空き家になる旨と緊急連絡先を伝える)
とくに郵便物は、相続関係の重要書類が紛れているため、止めずに転送設定するか、定期的に回収します。
捨てる前に絶対に探す書類7種
片付けの前段階として、家じゅうの引き出し・押し入れ・タンス裏・仏壇・神棚・封筒の束を、「捨てる目」ではなく「探す目」で見て回る段階を必ず設けてください。次の7種類の書類は、後の相続・解約・売却で必須になります。
- 通帳・キャッシュカード・銀行印:銀行口座の凍結・解約に必要。タンスの奥、仏壇の引き出し、本棚の本の間など、思わぬ場所から出てきます。
- 生命保険・医療保険の証券:請求期限は3年が一般的(かんぽは5年)。古い証券でも、まだ有効な契約が残っていることがあります。
- 不動産関連書類:登記済証(権利証)、登記識別情報通知、固定資産税の納税通知書、建築確認済証など。実家を売却するときに必要になります。
- 年金手帳・年金証書:年金受給停止と未支給年金の請求に使います。
- 有価証券・株主優待関連の書類:取引のお知らせ、配当通知、株主総会の招集通知など、口座を持っている証券会社が分かる書類を探します。
- 借入・ローン関連の書類:消費者金融の明細、クレジットカードの明細、住宅ローン残高証明など。借金の有無は相続放棄の判断に直結するため、必ず確認します。
- 遺言書・エンディングノート:金庫、仏壇、本棚にあることが多いです。自筆証書遺言を見つけたら開封せず、家庭裁判所での検認手続きが必要です(法務局保管制度を利用していた場合は検認不要)。
実務メモ:マイナンバーカード・健康保険証・運転免許証
これらは死亡後に返還または失効手続きが必要です。捨てずにまとめて保管し、各役所・警察署で手続きを行います。
相続放棄を考えるなら、片付けに着手してはいけない
これは見落とされがちな、しかし取り返しがつかない論点です。親が借金を残していた可能性がある場合、または財産より債務が多い可能性がある場合、相続放棄を検討することになります。
相続放棄の期限は3か月
民法第915条第1項により、相続放棄は「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」に家庭裁判所へ申述する必要があります。この3か月を「熟慮期間」と呼びます。期間内に判断できない場合は、家庭裁判所に申し立てて熟慮期間の伸長(延長)を求めることも可能です。
家財を「処分」すると単純承認になる
注意すべきは民法第921条第1号です。相続人が相続財産の全部または一部を「処分」したとき、単純承認(=相続を受け入れた)とみなされ、原則として相続放棄ができなくなります。つまり、借金の有無が分からない段階で家財を処分業者に出してしまうと、後から多額の借金が発覚しても相続放棄できないという最悪のパターンが起こり得ます。
実務上は、形見分けや経済的価値のない物の整理は「保存行為」と扱われる余地もありますが、線引きはケースバイケースで、判断を素人が行うのは危険です。借金がある可能性が少しでもある場合は、次の順序で動きます。
- 消費者金融・銀行・クレジットカードからの郵便物を確認する
- 信用情報機関(CIC、JICC、全国銀行協会)に被相続人の信用情報を照会する
- 家財の処分は止め、形見分けも最小限に抑える
- 3か月以内に弁護士または司法書士に相談する
相続関係に少しでも不安があるなら、無料相談から
相続放棄の可否、相続登記の義務化、未登記家屋の扱いなどは、家庭ごとに事情が異なります。判断を誤ると数百万円〜数千万円の負債を背負うリスクがあるため、片付け前に専門家の意見を聞いてから動くのが安全です。多くの司法書士・弁護士事務所が初回無料相談を提供しています。【A8|司法書士相続相談センター】無料相談を申し込む
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家族・兄弟で先に決めておく4つのこと
遺品整理は「誰が片付けるか」よりも「誰の意思決定で進めるか」のほうが揉めやすい領域です。一人で抱え込んだり、逆に兄弟全員が口だけ出して動かなかったりすると、関係が一気に悪化します。最初の家族会議では、次の4点を明文化しておくと後で揉めにくくなります。
1. 主担当者を一人決める
連絡窓口、業者対応、書類保管を一人に集約します。複数人で動くと、業者からの電話を誰が受けたか、どの書類を誰が持っているかが分からなくなります。主担当者には他の相続人から「動いてくれてありがとう」の一言と、後述する費用負担の優遇を設けるのが現実的です。
2. 費用を誰が、どの割合で出すか
遺品整理費用、解体費、固定資産税、火災保険料は、相続財産から支払うのか、相続人で按分するのか、立て替え方式にするのかを決めます。相続財産から支払う場合は、領収書を必ず保管します(相続税申告で債務控除の対象になることがあります)。
3. 「捨ててよい物」と「相談が必要な物」のラインを決める
明らかなゴミ(食品、消耗品、汚れた寝具など)は主担当者の判断で処分してよい、ただし以下は必ず兄弟全員に確認、というルールを最初に作ります。
- 写真、アルバム、手紙、日記
- 仏壇、神棚、位牌、遺影
- 金額が分かるもの、ブランド品、貴金属、骨董品
- 故人の趣味の品(楽器、コレクション、書籍)
- 不動産関係・金銭関係の書類
4. いつまでに終わらせるかの「期限」
「いつか片付ける」では永遠に終わりません。四十九日まで、納骨まで、一周忌まで、賃貸の場合は退去日までなど、明確な期日を設定します。期限が決まることで、業者見積もりの精度も上がります。
遺品整理は「自分で」か「業者」か、判断の分岐点
遺品整理を自分でやるか業者に頼むかは、費用だけで決めるものではありません。次の表の項目で4つ以上当てはまる場合は、業者依頼を強く推奨します。
| 項目 | 自分で対応可 | 業者推奨 |
|---|---|---|
| 間取り | 1K〜1LDK | 2DK以上、戸建て |
| 荷物の量 | 段ボール20箱以下 | 家具・家電が多数残る |
| 大型家具 | 解体できる組立家具のみ | タンス、仏壇、ピアノ、応接セット |
| 距離 | 車で1時間圏内 | 新幹線・飛行機を使う遠方 |
| 使える日数 | 休日に複数回通える | 平日休めない、まとまった時間が取れない |
| 体力・人数 | 大人2名以上が動ける | 一人で対応、高齢の兄弟のみ |
| 状態 | 清潔に保たれている | ゴミ屋敷、特殊清掃が必要 |
自分でやる場合の現実
「お金をかけたくないから自分で」という選択は理解できますが、戸建て一軒分の家財を素人が片付けると、平日休みを使って2〜6か月かかるのが普通です。粗大ごみは自治体ごとに収集ルールが違い、家電リサイクル法の対象品(エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機)はリサイクル料金と運搬料金が別途かかります。さらに、一般家庭から出る廃棄物は「一般廃棄物」に分類されるため、有償で回収を請け負える業者は市区町村から「一般廃棄物収集運搬業」の許可を受けた事業者に限られます。無許可業者を使うと不法投棄に巻き込まれるリスクがあります。
業者に頼む場合のメリット
- 1日〜数日で完了する
- 分別、搬出、処分を一括で任せられる
- 買取(古物商許可)で費用を相殺できる場合がある
- 仏壇・人形の供養を提携寺院で対応してくれる業者もある
- 遺品の中から貴重品が出てきたら連絡してくれる業者が多い
遺品整理業者の費用相場と内訳
遺品整理業者の費用は、間取りごとの「目安」と追加要素による「変動幅」に分けて理解するのが正しい見方です。
間取り別の費用目安
| 間取り | 費用目安 | 作業人数 | 作業時間 |
|---|---|---|---|
| 1R / 1K | 3〜8万円 | 1〜2名 | 1〜3時間 |
| 1DK | 5〜12万円 | 2〜3名 | 2〜4時間 |
| 1LDK / 2DK | 9〜25万円 | 2〜4名 | 3〜6時間 |
| 2LDK / 3DK | 15〜35万円 | 3〜5名 | 4〜8時間 |
| 3LDK / 4DK | 20〜50万円 | 4〜6名 | 6〜12時間 |
| 4LDK以上(戸建て) | 30〜80万円 | 5〜8名 | 1〜3日 |
※相場は2026年時点の業界一般的な目安。地域差・物量・搬出経路で大きく変動します。
費用が大きく変動する要素
- 荷物の量:同じ間取りでも、ゴミ屋敷状態と整理された状態では2〜3倍の差が出る
- 搬出経路:エレベーターなしの3階以上、トラック横付け不可、長い階段などは追加料金
- 家電リサイクル品:エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機は1点あたり3,000〜6,000円のリサイクル料金
- 特殊清掃:孤独死の現場、汚物の処理、害虫駆除は別途5万〜30万円以上
- 供養:仏壇・神棚・人形の合同供養で1点5,000〜30,000円程度
- ハウスクリーニング:原状回復が必要な場合、1Kで2〜5万円、戸建てで10〜30万円
- 買取:金、ブランド品、家電、楽器、骨董品は買取金額が費用から相殺される
見積もりの取り方
見積もりは必ず現地見積もりで、3社以上から取るのが鉄則です。電話やメールだけの概算は、当日になって追加料金が発生するパターンが多発します。複数社に同じ条件で見てもらうことで、サービス範囲の差と価格の妥当性が初めて比較できます。
一括見積もりサイトを使うと、地域・対応可能日・立ち会い不要対応の業者を一度に絞り込めます。複数社からの連絡を1か所でやり取りできるため、遠方対応や相続急ぎの場合に有効です。
条件を揃えた相見積もりが、費用と業者選びの両方で効きます
提携業者は一般廃棄物収集運搬業の許可・古物商許可を取得済み、または許可業者と提携している事業者が中心。複数社からの一括見積もりで、最大相場の半額になることも珍しくありません。見積もりまで完全無料、しつこい営業電話を断る仕組みがあるサービスを選んでください。【A8|遺品整理110番】無料一括見積もりを試す
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悪質業者を見抜く7つのチェック項目
遺品整理業界には、残念ながら悪質な事業者が一定数存在します。国民生活センターにも、不当な追加請求、貴重品の盗難、不法投棄に関する相談が寄せられています。次の7項目で、契約前に必ずスクリーニングをかけてください。
- 一般廃棄物収集運搬業の許可、または許可業者との提携を明示しているか
家庭から出る廃棄物を有償で運搬するには、市区町村の許可が必要です。許可がない・提携先も明示しないという業者は、不法投棄のリスクが極めて高いです。 - 古物商許可を取得しているか
遺品の中から買取(有価物の取得)を行うには古物商許可が必須です。許可番号は「東京都公安委員会許可 第〇〇〇〇〇〇号」のように記載されます。 - 会社所在地・固定電話・代表者名が公開されているか
携帯電話番号のみ、住所が私書箱、運営会社が変更されているといった業者は要注意です。 - 見積書が書面で発行され、作業内訳・追加料金条件が明記されているか
「総額〇〇万円」だけの見積書は危険信号。人件費、車両費、処分費、買取相殺額が項目ごとに記載されているのが正常です。 - キャンセル料・キャンセル可能期間が明示されているか
契約直後からキャンセル料100%という業者は契約を急がせる傾向があります。 - 作業前後の写真報告に対応するか
とくに立ち会いなしで依頼する場合、写真報告は必須条件です。 - 口コミ・評判の出元が複数あるか
業者公式サイトの口コミだけでなく、Googleマップ、業界のポータルサイト、SNSの3か所以上で評判を確認します。「★5ばかり」「逆に投稿日が固まっている」のは要注意。
こんな勧誘は即断る
- 「今日契約すれば半額」と当日契約を急がせる
- 軽トラで巡回しながら声をかけてくる「無料回収」業者
- 見積もり後に「このままじゃ作業できない」と追加料金を要求
- クーリングオフを拒否する
- 支払いを現金一括・前払いのみに限定する
仏壇・写真・人形・神棚をどう扱うか
遺品整理で最も悩まれるのが、仏壇、写真、人形、神棚といった「ただのモノとしては捨てられない」品々です。法律上は通常の廃棄物として扱って問題ありませんが、心情的に抵抗がある方が多く、また地域・宗派によっては作法があります。
仏壇
処分する場合は、菩提寺がある場合は「閉眼供養(魂抜き)」を依頼してから処分するのが一般的です。費用は3〜10万円程度。菩提寺がない場合は、遺品整理業者の提携寺院での合同供養や、仏壇店での引き取りサービスを利用できます。新しい住居に移す場合は「遷座供養」を行います。
写真・アルバム
すべてを捨てるのは多くの方が抵抗を感じます。実務的には、以下の3段階で整理するのが現実的です。
- 家族写真・思い出の写真はスキャンしてデジタル保存(自分で・業者依頼で1枚20〜50円)
- 故人の若い頃の写真、結婚式の写真など本人や親族が分かるものはアルバムごと残す
- 風景写真、誰が写っているか分からない写真、複写の重複分は処分
気になる場合は、お寺や神社で写真供養をしてもらうことも可能です。
人形・ぬいぐるみ・お守り・お札
魂が宿るとされるこれらの品は、神社やお寺の「人形供養」「お焚き上げ」を利用します。日本人形、雛人形、五月人形は人形供養の専門寺院があり、郵送受付に対応している施設も多いです。費用は段ボール1箱で3,000〜10,000円程度。
神棚
神棚は神社で「お祓い・撤去」をしてから処分します。処分前にお札・お守りを神社に納め、神棚本体はゴミとして出すか、業者に処分を依頼します。
片付けと並行で進めるべき相続・売却の準備
遺品整理だけに集中していると、相続手続きや売却準備が遅れ、固定資産税の負担増、空き家特例の適用ミス、特定空家指定などの不利益が発生することがあります。片付けと並行して、次の3つを進めます。
1. 相続登記の準備(義務化されました)
2024年4月1日から、相続登記が義務化されました。法務省によると、相続(遺言を含む)により不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。正当な理由なく申請を怠った場合、10万円以下の過料の対象となります。
2024年4月1日より前に相続が発生した不動産も対象で、その場合は施行日(2024年4月1日)から3年以内、すなわち2027年3月31日までが期限となります。古い名義(祖父母名義)で放置されている実家がある方は、特に注意が必要です。
2. 不動産の現状把握
実家を売却するか、賃貸に出すか、解体するか、保有し続けるかを判断するには、まず物件の市場価値を知る必要があります。家財が残ったまま査定を依頼できる不動産会社も多いため、片付け完了を待たずに査定依頼を出すのが効率的です。とくに次のケースでは、片付け前の査定が有利に働きます。
- 遠方で何度も通えない(片付けと売却を並行進行したい)
- 築年数が古く解体前提の可能性がある(残置物込みで買取してくれる業者がいる)
- 相続税の申告期限(10か月)が迫っている
- 「相続した空き家の3,000万円特別控除」の適用を検討している
「相続した空き家の3,000万円特別控除」は、被相続人が一人暮らしだった居住用家屋を相続後に売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる税制特例です。国土交通省によれば、この特例は2027年12月31日までの売却が対象で、適用には耐震基準を満たすか取り壊して売却するなどの要件があります。適用を狙う場合、片付け・解体・売却のタイミング設計が重要になるため、早めに不動産会社・税理士に相談するのが得策です。
「家財が残ったままでも査定OK」の不動産会社を一括比較
相続した実家の売却は、通常の不動産売却と異なる論点(残置物、未登記、共有名義、3,000万円控除)があるため、相続物件の取り扱いに慣れた不動産会社を選ぶ必要があります。一括査定なら、複数社の査定額・販売戦略を比較したうえで、片付け・解体のタイミングを最適化できます。【A8|不動産売却一括査定】最大6社の査定額を比較
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3. 相続税の申告(10か月以内)
遺産総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合、相続税の申告と納付が必要です。期限は被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内。土地・建物の評価、預貯金、有価証券、生命保険金、葬儀費用などを整理する必要があるため、税理士相談の検討は早いほど安全です。
時系列ロードマップ(死亡当日〜1年後まで)
ここまで解説してきた内容を、時系列で一望できるロードマップにまとめました。実家じまい全体の見取り図として活用してください。
当日〜7日以内
- 死亡診断書の受取、葬儀社への連絡
- 死亡届の提出(7日以内)
- 火葬許可証の取得、葬儀
- 実家の施錠、ライフライン確認、貴重品の保管
7日〜14日以内
- 世帯主変更届(14日以内)
- 年金受給停止(厚生年金10日・国民年金14日以内)
- 健康保険・介護保険の資格喪失届(14日以内)
- 金融機関への連絡(口座凍結)
- 郵便物の転送設定
1か月以内
- 遺言書の確認・検認手続き
- 相続人の確定(戸籍収集)
- 家族会議、片付け方針の決定
- 貴重品・重要書類の探索
- 公共料金・契約の解約手続き
1〜3か月以内
- 相続放棄・限定承認の判断と申述(3か月以内)
- 遺産・債務の概算把握
- 遺品整理業者の現地見積もり(3社以上)
- 不動産の現況査定(複数社)
- 準確定申告(4か月以内)の準備
3〜10か月以内
- 遺品整理の実施
- 遺産分割協議
- 相続税の申告・納付(10か月以内)
- 実家の売却または賃貸の方針決定
1年以内〜3年以内
- 相続登記の完了(取得を知った日から3年以内)
- 不動産の売却・解体・賃貸開始
- 3,000万円特別控除を狙う場合は2027年12月31日までの売却を計画
よくある質問(FAQ)
Q1. 葬儀直後に片付けを始めるのは早すぎますか?
大規模な処分を始めるのは早すぎます。最初の1〜2週間は、家を守ること(施錠・ライフライン)、貴重品・重要書類の探索、家族会議に時間を使うのが正解です。本格的な遺品整理は、四十九日や納骨を区切りにする家庭が多く、相続放棄を検討する場合は3か月の熟慮期間が経過するか、放棄しないと決まってから着手します。
Q2. 兄弟と意見が合いません。どう進めればいいですか?
意見の対立は、目的(売る・残す・貸す)、費用負担、誰が動くか、形見の分配の4点で起こりがちです。まず「期限」を全員で共有し、「何を決めないといけないか」を可視化します。それでも合意できない場合は、家庭裁判所の遺産分割調停を検討します。弁護士相談で第三者の視点を入れるのも有効です。
Q3. 親が亡くなった後、いつまでに実家を売却すべきですか?
明確な締切はありませんが、空き家のまま放置すると固定資産税の住宅用地特例(最大1/6)が外れる「特定空家」「管理不全空家」に指定されるリスクがあります。また、相続した空き家の3,000万円特別控除を狙う場合は2027年12月31日までの売却が条件です。相続税の申告期限(10か月)も意識し、おおむね1〜3年以内の売却が現実的なラインです。
Q4. 遠方の実家でも遺品整理は依頼できますか?
可能です。立ち会いなしのプラン、写真見積もり、作業前後の動画報告に対応する業者が増えています。ただし、鍵の受け渡し方法、貴重品が出た場合の連絡フロー、追加料金の発生条件、キャンセル規定を契約書に明記してもらうことが重要です。一括見積もりサイトを使えば、遠方対応・立ち会い不要対応の業者を効率的に絞り込めます。
Q5. 遺品整理業者と不用品回収業者は違いますか?
明確な定義の違いはありませんが、実務上は次のような違いがあります。遺品整理業者は故人の家財整理に特化し、貴重品の探索、形見の仕分け、仏壇供養、特殊清掃などへの対応力が高いことが多いです。不用品回収業者は処分そのものが主業務で、料金が安い傾向はあるものの、遺族への配慮や貴重品探索のきめ細かさは事業者によってばらつきがあります。相続関係の複雑さや故人への思いを優先するなら、遺品整理業者を選ぶ方が無難です。
Q6. 借金があるかわかりません。どう調べればいいですか?
3つの信用情報機関(CIC、JICC、全国銀行協会)に被相続人の情報開示請求を行います。手数料は1,000〜1,500円程度で、郵送請求が可能です。これで消費者金融、クレジットカード、銀行ローンの債務が確認できます。住宅ローンは登記事項証明書の抵当権設定で確認可能。連帯保証人になっているケースは書類を探すしかなく、判明しない場合は弁護士相談を強く推奨します。
Q7. 形見分けはいつ、どう進めるのが正しいですか?
四十九日や一周忌のタイミングで行うのが一般的ですが、決まりはありません。重要なのは、相続人全員に声をかけ、価値の高い品(貴金属・骨董品・有価証券)は遺産分割協議の対象として扱うことです。財産的価値があるものを一部の相続人だけで形見分けすると、後で相続トラブルの原因になります。
Q8. 親の遺品で売却益が出たら税金はかかりますか?
遺品(家財)の売却益は、社会通念上家庭で使っていた動産については課税対象外です。ただし、1点30万円超の貴金属、書画、骨董品などは譲渡所得の対象になることがあります。不動産の売却益は譲渡所得として課税対象。判断に迷う場合は税理士に相談してください。
参考資料・出典
- 法務省「死亡届」
- 法務省「相続放棄等の熟慮期間」
- 法務省「相続登記の申請義務化について」
- 裁判所「相続の承認又は放棄の期間の伸長」
- 国土交通省「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」
- 民法 第915条(熟慮期間)、第921条(法定単純承認)
- 戸籍法 第86条(死亡届)、第137条(過料)
- 廃棄物処理法 第7条(一般廃棄物収集運搬業の許可)
本記事は2026年5月時点の公的情報をもとに作成しています。法令・税制は改正される可能性があるため、実際の手続きは最新の公的情報、または弁護士・司法書士・税理士等の専門家にご確認ください。本記事は情報提供を目的とし、特定の業者・サービスの利用を強制するものではありません。
最後に、これからやること3つのこと
この記事を読んでいる時点で、あなたはすでに基本的な必要事項を学べていると思います。あとは、いまの状況に合わせて適切な相談先を選びましょう
① 片付け・遺品整理の見積もりを取る
家財の量が多い、遠方で何度も通えない、期限が迫っている方へ。複数社の相見積もりで相場と業者の質を比較できます。【A8|遺品整理110番】無料一括見積もり
② 実家の売却を検討する
残すか売るかを判断するために、まず査定額を知る。家財が残ったままでも対応する不動産会社が複数あります。【A8|不動産売却一括査定】無料査定
③ 相続・登記の不安を専門家に相談する
相続放棄、未登記家屋、共有名義、登記義務化への対応。判断を誤ると損失が大きい領域は専門家へ。【A8|司法書士相続相談】無料相談
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